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手間隙かけて丹念に作り上げる伝承の技と心
五島手延うどんの美味しさの秘密は、熟練の麺職人が、時間と労力を少しも惜しむことなく、あたかも親が子を愛でるかのように、麺1本1本を丹精込めて生産することにあります。現在、製造工程の一部は機械化されていますが、棒状の生地を2本の箸にかけて、手で引き伸ばして紐状に束ねる作業を繰り返し、じっくりと熟成させていく伝統製法の基本は、千年以上の時を経ても、少しも色褪せることがありません。
厳選した小麦粉を、島のミネラル豊富な水と五島灘の海塩で練り上げます。塩分の濃度は、その日の温度と湿度に応じて加減します。麺職人の経験と勘が物を言います。
栴檀〈せんだん〉の木の台などの上に、練り上げた小麦粉を移し、500回ほど、丹念に足で踏みならします。足踏みをすることで、麺自体に「コシ」が生まれます。
大きな円盤状になった生地の外側から、渦を巻くように包丁の刃を入れていきます。棒状になった生地は、大きな桶の中に渦巻き状に回しながら重ねていきます。
生地を一段巻くごとに、その表面に島の特産・椿油を塗り、数段重ね合わせていきます。島人の知恵が息づいています。直径40mmほどの麺を「大巻」と呼びます。
麺を直径10mmになるまで、手で細くしながら切り廻しの作業を続けます。この過程でも椿油を塗って生地同士が付着するのを防ぎます。生地はこのまま寝かせます。
麺を、2本の竹管に、太さが均一になるように少し引っ張りながら、8の字にかけていきます。ムロ箱の中で再び、じっくり寝かせて生地が熟成するのを待ちます。
熟成した麺を200mmほどの長さまで伸ばします。伸ばしすぎると生地が膨れたり、途中で切れたりしますので、均一な麺になりません。熟練職人の技が生きています。
麺を「ハタ」と呼ばれる干し具に竹管ごとかけていきます。ハタも昔は、半農半漁の島人の暮らしの中で、うどんづくりを営む各家ごとに手作りで行われていました。
晩秋から春先にかけて、上五島に北西の風が渡ります。山を越えて島の東側に吹き下ろす、冷たく乾いた風は、麺の乾燥作業に欠かせないものでした。
乾燥を終えた麺をハタから外して8等分に切り分けます。麺づくりは最終章を迎えますが、上五島では大昔から、この手間隙かかる作業が営々と受け継がれています。
8等分した麺を束ね、袋詰めをしていきますが、異物の混入など、職人の厳しい目が光ります。熟練すると、200gと300gを量を違えることなく結束することができます。
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五島手延うどん協同組合では、島人が悠久の昔から営々と受け継いできた「手延べ」の伝統技を日本中の皆様にお届けしています。